ひ「ひらがなの 庵看板 京を指す」

ひらがなの いおりかんばん きょうをさす

 「庵看板(いおりかんばん)」とは、屋根のついた看板のことで、関宿ではただ一か所、中町の老舗菓子舗「深川屋(ふかわや)」にのみあります。

 「深川屋」の庵看板には、「深川屋」で製造販売しているお菓子「関の戸」の名前が金文字で書かれています。その文字は見る面によって異なっており、東から見た時は「の」の字がひらがなで、西から見た時には「の」の字が漢字をくずした字になっています。

 「京(きょう)」は現在の京都のことです。関宿を通る東海道五十三次は、江戸(現在の東京)と京とを結ぶ、およそ500キロメートルほどの一本道で、街道を歩けばいずれは江戸か京に到着します。

 関宿の看板は、見る向きによって”漢字”と”ひらがな”が使い分けられていると言われています。江戸から京に向かう人は“ひらがな”を、京から江戸に向かう人は”漢字”を見るようになっているわけです。庵看板に”ひらがな”を見れば、つまりは京の方向を向いているということになります。

絵札 「の」の字がひらがな

 多くの旅人が宿泊した関宿です。朝、旅籠を出発する時、歩いていく方向を間違えると目的地には行きつきません。旅人が歩いていく向きを間違えないようにとの思いやりが形になったものなんですね。宿場ならではと言えますね。

そこで、「続く 七七」
「見上げる旅人 道に迷わず」
(みあげるたびびと みちにまよわず)
です。


『関宿かるた』続く七七

「ひらがなの 庵看板 京を指す
  見上げる旅人 道に迷わず」



より詳しくお知りになりたい方は、
「“関宿”まちなみ・町家暮らし」へ。
「関宿の一枚看板 ”庵看板”」